ONESTAR

ねーちゃんはきちんと、自分が用意してたハンカチで

涙を拭ってた。

ですよね。

映画館を出ると、雨が降っていた。

同じ回を観てた奴らが、「雨だ~。」とか「聞いてなーい。」と出入り口で

立ち往生してる。

「わー、けっこう降ってるねー。」と外を見てねーちゃんが言った。

ヤバい!!

このまま帰るって言う気だ!!

「ねーちゃん、おなかすいてない?」

「え?そうね、何か食べに行く?」

「うん。」

「どこ行く?この時間だと……」時計を見ようとしたねーちゃんの左腕を掴む。

「え?」

「俺んち、行こ。」