俺は、映画館の暗闇の中で、

ラストシーンを観て泣き出すねーちゃんの肩をそっと抱き寄せる。

「ハンカチを忘れたの。」と、

ねーちゃんが俺の胸に頬をあてる。

俺のTシャツを濡らすねーちゃんの涙の感触が、

妙にリアルで、

冷房で冷えた白い肩を抱く。

冷たい。

ねーちゃんが「寒いわ。」と俺にしがみつく。

もっとしっかりとねーちゃんを抱く。

映画館の椅子がどっかに行って、

いつのまにか、俺はベッドに寝てて、

俺の身体の上に跨るようにしてねーちゃんがいる。