ONESTAR

頬にまで飛び散ったコーラを手の甲で拭いていた俺が顔を上げるのを見計らってからリュージは搾り出すように言葉を続けた。

「俺は今、リョーコとつきあってんだからよ。」

俺を睨みつけた目が、まるで縋るようで、そのまま玄関に走り去る背中を止めることも出来なかった。

目が合ったと言う理由だけで、入学式に隣に座ったやつをボコって停学を食らったこの男は、怒ると見境がなくなることに関してはかなり有名な話なのに。

おとなしく殴られるつもりはなかったが、

2、3発は覚悟してたのに。

…………俺を殴らないのは、リホコのためか?

ったく!!

とにかくコーラでびしょびしょの絨毯を何とかしなきゃ。