ONESTAR

「じゃ、数学から始めようか。」

店長は、紙袋から参考書を取り出し、

俺に向かって笑顔を見せる。

「謝りに行くんじゃなかったっけか?」

「え?でも……。」

そうだよ。

あんなに無理して笑ってるおふくろに今謝る方が酷だろうよ。

ああ、でもどうして。

どうしてそうやってあんたはそこまで見抜くかな。

「……店長ってさ。」

「何?」

「……いや。……いい。」

言ってしまえば、負けを認めることになりそうで、言わないことにした。