新曲なら歌詞を覚えてるから、

手ぶらでマイクの前に立った俺を見て、

ギターを抱えたリュージが聞こえよがしに呟いた。


「どーしてこんな詞書くんだよ。」


聞こえなかったフリをしたら、

続けて呟きが聞こえた。



「コクった女の目の前で、

ラブレター破り捨てられるような男が。」


「リホコに捧げる歌だもんよ。」


リュージの方を見もせずに言ってやる。