そこは調理場のようで、床には白い皿の破片が散らばっている。

さっきの大きな音は、きっとこれが割れた音だ。



「真梨ちゃん……」



背中を向けていた颯が振り返る。

颯の奥には昨日出迎えてくれた颯のお母さん。

その横には線の細い、ひょろっとしたおじさんがいて。

この人が、颯の父親だろうか。

伏せられた目は切れ長で、肌は色白。

お母さんも目を伏せていて、たれ目が妙に目立つ。


少し呆然としていた颯が、ハッとしたように私の腕をとって。

その場を離れようとする早歩きの颯に引きずられるかのように調理場から出た。