「行くか」


温もりが離れて、だけど手を繋いだ。

忘れていたけど、今日は大河の誕生日。

明後日はタカの誕生日だ。

今日と明日の夜は宴会だって、誰かが言ってた。


「もう始まってるの?」

「あぁ。お前らおせぇから」

「そっか」


しばらく歩いて行くと、だんだん騒がしくなってくる。


着いたのは、来た時に荷物を置いた部屋。

中からは光が漏れていて、酷く騒がしい。

そう言えばここで宴会するんだっけ。


蓮は何も言わずに中へ入って行く。

手の繋がれたあたしもそれに従って中に入ると、そこは宴会用の部屋なのか、教室5個分くらいは軽くあると思われるくらいの大広間。


「でかっ」


だけどそんなあたしの呟きは、


「「「あ、おかえりなさい‼︎」」」


という面子の台詞で掻き消された。


「おう」


一言だけ返して、蓮は慣れたように一番奥を目指す。

私もそれに習ってついて行く。


「真梨ーっ!」


その声に吸い寄せられるように視線を向けると、こっちこっち、と手招きする菜穂を見つけた。

その周りには大河たちもいて、みんなで長く連なっている机の一番奥を陣取っていた。