愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】





「そういうわけじゃ……ない」


「じゃあ、どうしたの?」


「……」




戸惑っているような、困惑しているような、そんな沈黙。




「れん、が……」




真梨が、少しづつ言葉を紡いでいく。




「蓮が……知らない人に、見えたの」




知らない人。


それはきっと、誰にでもなりうる。


だって、あなたの知ってるその人がその人の全てではないから。




「真梨の知らない所を見ちゃったんだ?」




小さく頷く。




「あたしの知らない蓮がいるのは当然だってことはわかってる。蓮だってあたしの全てを知ってるわけじゃないし。
でも……わかってるけど、胸が苦しい。張り裂けそうに、痛い……」


「うん」


「あの蓮を知ってる人がいるのかも、って考えるだけで嫌」




恋愛は理屈じゃない。


だからこそ苦しい。


それはよくわかる。




「でも……」




そして、




「こんな自分が、一番嫌だ」




綺麗に見える想いが真っ黒になるのが恋愛だ。