【菜穂side】
……あら。
ぷいっと効果音がつきそうな程可愛らしく膨らんだ頬。
真梨は拗ねててもやっぱりかわいい。
チラリと視線を逸らすと、大河が蓮斗を見てニヤニヤ笑っている。
大河の悪趣味め。
蓮斗は気難しそうな顔してるし……。
この短時間で真梨と蓮斗は何があったわけ⁈
ついさっきまで目も当てられない程ラブラブしてたのに……。
「ただいまー」
いきなりそんな声がかかって振り向けば、そこには膨れ上がった一つのナイロン袋を持った颯。
その横には鷹樹と隼がいて、どうやら昼ご飯を買い込んできたらしい。
あたしの横に座った真梨に近づいて、声を掛ける。
「真梨、何食べる?」
「ん、なにある?」
颯の問いに真梨が質問で返すと、颯は袋を覗き込みながら中に入っているものを言葉で羅列して行く。
「タコ焼き、お好み焼き、焼きそば、フランクフルト、焼き鳥……」
「焼きそば」
「ん?」
「焼きそば食べたい」
「んじゃ、はい」
全部食べてね、そう言って真梨に焼きそばを1パック渡す颯。
それに真梨はゲェッというような顔をしながらも受け取った。



