「あ゛?」




蓮の低い声が横から聞こえる。


隼に目を向ければ、やばっ、と言う様に顔を青くさせて目を逸らされた。




バカ隼。


今の発言はよくないなぁ…


だって、ほら。


イラついたように強引にあたしの肩を掴んで自分の方へ引き寄せる。


ちらっと顔を見れば、眉間に皺を寄せて不機嫌そうに隼を睨み付けていた。




「蓮?」




呼びかけて、こちらを向かせる。


あたしの方を見た蓮は、やっぱり不機嫌そうだったけれど。


あたしが少し笑えば、蓮の頬も少し緩んだ。




「海楽しみだね、蓮」


「水着着るなよ」


「え~、それは嫌だよ。どうせ海行くんだったら入りたいし」




あたしがそう言うと、蓮は口を閉じる。


交わる視線は、少し鋭い。


…そんなにあたしに水着着させたくないのか。




「海はいる時以外はパーカーかなんか羽織っとくから、ね?」




良いでしょ?


と言う様に上目遣いで蓮を見上げる。


それでもブスッとしたままの蓮の頬に軽くキスを落として、ダメ?と耳元で囁く。




「…他の男にあんま見せんなよ」




……どうやらお許しはいただけたらしい。