俺を拾ってくれた施設にも、育ててくれた園長先生にも、今は感謝してる。
だからもう一度、一から始めよう。施設に、園長に恩返しをしよう。
そう考え始めた矢先だった。高校2年の4月のことだった。
今でもよく覚えている。泣き叫ぶ施設の子どもたちの声、職員の先生たちの悲鳴、パトカーの音……。
「俺には、あそこに帰る資格がない」
総長になって一年が経った時だった。
あそこが俺の大切な場所だったから、敵対していた族に狙われた。
幹部が通う学校がバラバラだったこともあり初動が遅れ、対応が遅れた。
あのときの惨状は、思い出すだけで息ができなくなる。
割れた窓、悲鳴……目の前が、真っ赤に染まった。
警察も来て、なんとか事態は収束したが……俺は、園長先生に謝ることしかできなかった。