その日は、その時の幹部の一人の誕生会だった。
俺とタカ、蓮はその時には今でいう光と虎太郎の位置である、幹部補佐にいた。
こんなに短い期間でそこまで行った奴は滅多にいないらしく、ある意味その時の俺達は異色だったと思う。
それを考えれば、俺と菜穂が出会ったのはもしかしたら偶然ではなかったのかもしれない。
だって、俺が幹部補佐でなければ、
俺と菜穂は、出会っていなかったから。
俺が菜穂と出会った理由。
そんなものは、簡単だ。
その時の総長に幹部補佐だと言う名目上で紹介されたから。
「西城。こいつ等、この間幹部補佐になった蓮斗と鷹樹と大河」
そう言われ、引きあわされた俺達。
頭を下げるのはタカだけで、蓮はいつも通り飄々としていて、俺は思わずフリーズしていた。
「西城菜穂」
一言、それだけ言った菜穂は、今とは似ても似つかない。
ニコリとも笑わずに、真っ直ぐに俺達を見ていた。
今とは違う、はちみつ色の短髪。
ほとんどメイクのしていない顔は、とても綺麗で。
意志の強い瞳に、俺は目を離せなくなっていた。
――きっと、いや絶対。
あれは一目惚れだった。