本当に、惨めだ。あたしは生きていくために、汚れた体をもっと汚して……苦しくても、悲しくても、そんな感情切り捨てて生きてきたのに……。

気づけばあたしの瞳からは絶えず涙が溢れ、口からは嗚咽が零れていた。

そんなあたしを蓮は抱きしめてくれて、蓮の胸元に顔を埋める。

蓮の黒シャツが、どんどん涙で色濃く染まっていた。



「言い訳はしない。が、少しだけ聞いてほしい……」



あたしの知らないあたしの過去が、ヘンリーさんの過去が、この人から伝えられようとしている。

この話は、あたしをどう変えてしまうのだろう。

語られるであろう真実が怖くて怖くて、あたしはより一層強く蓮にしがみついた。