それってつまり、あたしは母親でもない人から虐待されて……あんな、あんな辱めを受けたって言うの?
母親ですらない他人に、あたしの人生めちゃくちゃにされたの?
「これが、マリーの本当の母親だ。梨里という」
一人の女性が写った写真を見せられる。
栗色のストレートの髪、ぱっちり二重の琥珀色の瞳。とても綺麗な女性。
違う人だけど、あたしと似てる……。
確かにその人は、あたしの母親としか考えられないほどに似ていた。
「これは、マリーを生んですぐの頃の写真。26歳のときのものだ」
「似て、ますね」
「ああ。パーティーのとき、ついマリーを見て彼女の名……リリーと呼んでしまった」
そうか。ヘンリーさんは、この人とあたしを間違えたのか。
「水川さんは、私とリリーの昔なじみでね。どうしても、私の手ではマリーを育てられないと思って……彼女に預けたんだ」
「嘘……」
口から、小さな声が零れた。