その日の夜、話があると言って蓮を呼び出した。場所は総長室。ベッドに二人、腰掛ける。



「蓮、あのね……。パーティーのときの……おじさんの、ことなんだけど……」



用件を切り出すと、蓮は驚いたように目を見開いた。



「一度会って、話を聞いた方が良いかなって……」

「俺も、そろそろその話をしようと思ってた」



そう言って蓮は一度立ち上がると、部屋の片隅にある雑誌が積まれた箱の中から一枚の紙を取って戻ってきた。



「これ」

「なにこれ……個展?」

「ああ……覚えてないかもしんねぇけど、あの時本人から貰ったんだ」



手渡された個展のパンフレット。

ヘンリック・カイヴァントと個展の文字、それから様々な絵画が載っている。

中には、あのおじさんの写真もあった。

正直、全然覚えていない。

こんなパンフレットをもらっていたなんて……。

実は、あの日の最後の方の記憶は曖昧で、よく覚えていない。



「この個展に来てほしい、って言ってた」

「そう、なんだ……」