「お前の言うことなんて聞かない、お前には俺の気持ちなんかわからない!」
そう言って、親父から逃げた。でも、俺の本音だった。
痛くて苦しい毎日も、腹が減っても食べる物がない日々も、お前にはわからない。
母さんに愛してもらえない辛さだって! お前には絶対、わからない!!!!
その年の9月には蓮に拾われて獅龍に入った。
それを知られた時も親父は何か言っていたけど、全部無視した。
そして次に家に帰った時、俺は軟禁された。母親に。
母親は狂っていた。俺を家から決して出さず、俺を殴った。
「あんたが勝手なことするから! 良幸さんに怒られたじゃない!!」
「どうしよう……嫌われたかも……全部、全部あんたのせいよ!!!!」
母さんはそう言って俺を殴り蹴ってはスッキリしたように部屋を出て行った。
良幸は、父さんの名前だった。だから、ああ、親父がこの女に言いつけたんだな、と思った。
親父大好きなこの女が、俺のせいで親父に嫌われて……狂ったんだな、と思った。



