俺は、警察官の父親と専業主婦の母親の元に生まれた。

親父はいつも優しくて、親父がいる時はいつも母さんは笑顔だった。

だけど、俺と二人の時の母さんはいつもそっけなかった。

母さんは親父が好きなだけで、俺を愛してはくれなかった。

親父が俺を構うから、むしろ俺のことを嫌っていたんだと思う。

俺に優しくすると親父が嬉しそうだから、親父がいる時だけは優しくしてくれるだけ。

それでも、小さい頃はまだマシだったんだと思う。まだ殴られることも、ご飯がないこともなかったから。



俺が小学校に上がった頃から、親父は仕事が忙しくなった。

元々忙しい人だったけど、目にみえるように忙しくなった。

顔を見ないことが何週間も続いたりした。それでもたまに取れた休みは俺と遊んでくれた。

そんな日々は、母さんにとっては地獄だった。

唯一愛している男性は朝早く出ていき、夜遅くに帰ってくる。泊まりの仕事も日常茶飯事。

まともな夫婦の時間を過ごすことすらできないのに、たまの休みは煩わしいガキに取られてしまう。