頭から伝わる温もり、


あの時と同じ重さ、


菜穂と同じ温もり。




菜穂とみんなは似てる。


目が一緒。


温かい目が一緒。




だけど――違う、だなんてことに今気付く。


だって、みんなが菜穂に似てるんじゃない。


菜穂とみんなのあたしを見る目が同じだけなんだ。




ただ、彼だけは。


彼だけは、菜穂と同じだった。








「菜穂」




彼が初めてあたしの前でその名を呼んで。


菜穂と同じ温もりの大河の手が、あたしの頭から離れて菜穂の手を掴んだ。




そのまま、大河は菜穂を引っ張ってどこかへ連れて行く。




「ちょっと大河?!どこ行くの!!」




菜穂の静止の声さえ聞くことなく、二人の姿は小さくなっていく。


誰も、大河のその行動を止めようとはしなかった。


そしてあたしも、そんなみんなを、二人を、見詰めているだけだった。