「隼、落ち着け。大丈夫。かすり傷だ」

「で、でも親父……っ」



目の前が霞んでいくような感覚。

体が震えて止まらない。

赤く染まった視界、倒れている親父、狂ったように笑い続ける女。



「嫌だ、やめろ……」

「隼……!」

「やめろ――――――!!!!」



頭を抱え込んで蹲る。涙が止まらない。

もう、嫌なんだ。親父を失うのだけは、嫌なんだ――。