「ちょっと、離れてよね」


「え~、やだぁ」




そう言って、あたしの腕から手を離さない菜穂。


足は蓮達が先に言っているだろう旅館からすぐそこの海へ向かっていて。




「暑いから」


「うん、あたしも暑いよ?」




なら離してよ、と思うけれど、きっと菜穂は離さない。


今の菜穂はあたしには扱いきれないから。








「蓮斗――っ!!」




歩く先に蓮達の姿を捕えて、菜穂が名を呼ぶ。


振り向いた彼等は、あたし達を見て大きく目を見開いた。




「菜穂さん、スタイルよくねぇ?」




下の面子から、そんな声が聞こえる。


確かに、横にいる菜穂はスタイルがいい。


余計な肉はついておらず、胸は普通サイズだが綺麗なくびれが見える。


白い肌に映える黒の紐ビキニは、大人の色気を纏う。


足だってスラッと細くて長いし、いうなればモデル体型だ。




対してあたしは、オレンジの自分の体をすっぽりと覆う位の大きなパーカーを着用。


下も隠れるという理由でこれにした。