ちらりと隣に立つ蓮を盗み見る。
でもまあ……執事服の蓮、めっちゃかっこいいしちょっと良かったかも……なんて。
首に看板を下げてさえいれば、何もしなくて良いと言われているので、普通に蓮と文化祭をまわる。
蓮と二人って、外ではあまりないから新鮮だ。何だか普通の高校生みたい。
「真梨、お前今日も化粧してる?」
「あ、うん。涼子がしてくれた」
「ふーん」
今日も涼子にメイクしてもらっている。
前の時も蓮は気づいてくれたけど、特にリアクションはない。
良いとも悪いとも言ってくれない。
ちょっとくらい褒めてくれればいいのに、恥ずかしいのかな。
「どこ行く?」
文化祭のパンフレットを見ながら、蓮に尋ねる。
「喉渇いた」
「んー、じゃあ隼のクラス行く? 電球ソーダだって」
「余計喉渇くじゃねぇかよ」
「普通のお茶も売ってるみたいだよ?」
「なら行く」
電球“ソーダ”なのに炭酸じゃないものを売っているというツッコミは置いておいて、あたしと蓮は中庭にある隼のクラスの模擬店を目指した。



