光の着ている白いTシャツの二の腕部分が切れていて、血が滲んでいる。
顔も殴られたのか、赤く腫れている。
「ひ、光……血が……」
「ん?あぁ、かすり傷だ」
あたしの体が震えている。
その足で光に近づいて、手でそっと光の頬に触れる。
「ま、真梨?」
「どうして……」
みんなが不良なのはわかってた。
こうやって喧嘩したり、怪我をするリスクだって理解してた。
その現場に居合わせたこともある。
だけど、今日のあたしにはダメだった。
パーティーでの出来事もあって、完全にキャパオーバーしていた。
気づけばあたしの目からは、ポロポロと涙が溢れていた。
「な、何泣いて……」
「…………」
「お、おい真梨っ、泣くなよ……」
慌てている光に、あたしは何も言えない。
違うの。光が悪い訳じゃないの。もうわけわかんなくて、勝手に涙が出ちゃうの……。
そう言いたいのに、あたしは唇を震わせるだけで、言葉を紡ぐことができない。
「悪い光、ちょっとパニックみたいだ。気にしなくていい」
「え、あ、はい……」



