「真梨」
「うん」
蓮に声をかけられて、車を降りる。
車に揺られている間に少し冷静さを取り戻したあたしは、差し出された蓮の手を取って倉庫の中に入る。
けれど倉庫の中を視界に入れた瞬間、あたしの頭の中は完全にパンクした。
「なに、これ……」
少し埃っぽい、いつもとは違った荒らされた倉庫内。
いつもは綺麗に整頓されているのに、物が散乱している。
怪我をしたのか、体に包帯を巻いている人もいる。
「あ、蓮さん。おかえりなさいっす」
「おい光、これどうした」
声をかけてきた光に、蓮が問いかける。
手当てをしていないのか、光は身体中生傷だらけだ。
「や、ちょっと襲撃があって」
「大丈夫なのか?!」
“襲撃”
その言葉に反応したタカが声をあげる。
「もう追い払ったんで、大丈夫っす。大きな怪我してる奴もいないし。大河さんたちは奥にいますよ」
「そうか」
タカが答えて、蓮と奥に進もうとする。
だけどあたしは、固まってその場から動けなかった。
「真梨?」
蓮の声にも、反応できない。



