輝く金髪をオールバックにした、ダンディなおじさん。
痩せ身で、頬がこけている。健康的とは言い難い。
髪はクセのなさそうなストレートで、瞳は、くすんだ空の色みたいな、薄い水色。
くすんだ、空の色……。
それに気づいたその時、ぐらりと世界が反転したような気がした。
ドクドクと、大きく心臓が脈打ちだす。
その、瞳の色。それから、髪の色も。
まるで、その色は……。
「真梨、君は……僕の、」
「い、いや……」
おじさんの声を遮る。
体が、あたしの意思に反してガクガクと震える。
まっすぐ立っていられないあたしを、蓮が支えてくれている。
「やめて!聞きたくない!!」
ぎゅっと、体を抱きしめる。
嘘だ。やめて。なんで。どうして。嫌……。
あたしの想定が正しいのなら、この人は……。
違う!嘘!!どうして……どうして、今更!
「すみません。今日は、これで勘弁してもらえませんか」
蓮の声が、ぼんやりと聞こえる。
もうあたしの視界には何も映ってなかった。
蓮のスーツに顔を埋めて、しがみつく。



