愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】



「ヘンリック・カイヴァント……画家……」



名刺に書かれた情報を読み上げる。

他には連絡先なんかも書いてあって、ごく一般的な名刺だ。



「ヘンリック・カイヴァント……俺の叔父が好んで贔屓にしてるって……」

「ああ。今日はその関係でパーティーに参加したんだ」



どうやら、タカの家関係の人らしい。



「本当に、すまなかった。申し訳ないのだが、名前を教えてくれないだろうか……」



おじさんの、薄い水色の瞳があたしを射抜く。

あたしの名を聞いているのは、明白だった。

答えたくはなかった。けれど、おじさんの意思がこもったような強い視線を受けたあたしの口は、勝手に開いていた。



「ま、り……真梨、です……」



あたしがそう言った瞬間、おじさんの目の色が変わったような気がした。



「やっぱり……」



やっぱり?やっぱりって、何……。

おじさんを、じっと見つめる。