会場に入れば、それなりにもう人がいた。
なんとなくテレビで見たことのあるような顔もちらほらいて、なんだか場違いな気がする。
「ちょっと俺、挨拶回りしてくる」
しばらくして、颯はあたしたちのそばから離れていく。
「俺も親父んとこ行ってくるよ。最初の挨拶とかあるからしばらくは戻って来れないけど、適当に楽しんでて」
タカもそう言って、離れていってしまう。
取り残されたあたしと蓮は、どうしたものかと目を合わせた。
「なんか、すごいね……」
「あぁ」
「蓮は、来たことあるんだよね?」
「何回かな」
「ふーん……」
その後もしばらくどうでもいい話をしていると、タカのお父さんが壇上に上がり、挨拶を始めた。
「えー今日は――」
タカのお父さんを見るのは初めてだけど、すごく若く見える。
タカみたいな大きい子どもがいるとは思えないくらい。
そんなタカはお父さんから少し離れたところに立っている。



