あたしの首元に顔を埋めてきて、息が直接首に掛かってくすぐったい。



「ちょ、」



あたしが抗議の声を上げた瞬間、蓮の舌がぺろりとあたしの首筋をなめ上げた。



「っひぁ」



ざらざらした舌の感触に驚いて、声を上げる。

驚いて出た声なはずなのに、妙に甘く聞こえた。



「れ、蓮……っ」



名前を呼ぶけれど、蓮は黙ったまま。

そのまま首筋に吸い付いて、チクリと小さな痛みが走った。

どっどっどっ、と、体ごと心臓になったみたいに大きく鼓動が鳴る。

今まで、蓮とたくさんキスもしてきたし、抱きしめられてきたけど、こんな風に触れられたのは初めてだった。

どうしよう。柄にもなく、顔が熱い。あたし、たぶん、今真っ赤だ。

どうしたらよいのかわからなくて、そのままの状態で固まっていると、首元から小さな笑い声が聞こえた。



「すっげー音」



蓮のその一言が、あたしの心臓の音を指していることに気づいて、余計に顔が熱くなる。

血液が逆流しそうで、どうにかなりそうだった。



「う、うるさっ」



『い』までは、言わせてもらえなかった。

気づけば、蓮は顔を上げていて、一瞬にして唇を奪われていた。

そのあと、口内を好き放題暴れられ、解放されてすぐに寝てしまった。





思い出しただけで、心臓が大きく脈打つ。

隣の席に座る蓮を見れば、あたしの気も知らずに呑気に机に顔を伏せている。

あたしはこんなに悶々としているのに……。

一つ、ため息をついた。