感心したところで、颯がこっちを向いた。
「名前、真梨ちゃんわかる?」
「え……。んー……なんか言ってた気がするけど、覚えてない」
あの二人のこと忘れてたのに、覚えてるわけない、そう付け加えて、あたしは口を閉じた。
「だよね……」
颯はパソコンに向き直る。
「たぶん、拠点はファッションビルのある○×市だろうね」
そう言って颯はパソコンに打ち込む。
「んー……流石に情報がこれだけだと、正体を掴むのに時間がかかりそうだ。どうする? 蓮」
「とりあえず警戒レベル上げとけ。どこのヤツかわかった時点で対策を立てる」
「りょーかい」
颯と蓮で淡々と結論を出してしまったけど、それに反対する人はいないみたいで、終わった瞬間みんな好きなことをやり始めた。
あたしはそんなに警戒することなのかな、と思ったけど、この県では有名な獅龍にあんな大々的にケンカを売ったんだからこれが普通なのかも、と思って何も言わなかった。



