「このまま撒くぞ!」
蓮の声に、みんなスピードを上げる。
ナンパ男が小さくなっていく。
「くっそ~、次こそ奪うからな!!!!」
誰のことかは、明白だった。
あのナンパ男、あたしを奪いに来たんだ……。
小さくなって消えていくナンパ男から目をそらして、あたしは蓮の背中にヘルメットを押しつけた。
そのまま倉庫に帰ってきたあたしたちは、ソファーに座ってため息をついていた。
「……で、誰なんだよ、あいつ」
「すげぇしつこかったな……」
光と虎太郎はいなくなった室内で、タカと大河が口を開く。
「真梨ちゃんのこと狙ってたみたいだけど……」
颯がちらり、あたしの方を見ながら言うから、口を開いた。
「この間ショッピングビルでナンパしてきたヤツみたい」
「いつナンパなんかされたんだよ」
大河が不思議そうに言う。
「カフェであたし、お手洗い行ったでしょ? そのとき」
「あぁ……、そう言えば帰ってくるの遅かったな」
納得したように大河が頷く。



