愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】



うざそうに舌打ちして、蓮は声を張り上げた。



「隼!!」

「はい、なーに、蓮!」

「つぶせ、あいつ」

「はいはーい!」



なにやら物騒な会話が行われ、隼はスピードを落としていく。

あたしはその隼を追うように、蓮にしがみついたまま、顔だけ後ろへ向けた。

二台のバイクのうち、先に走っているバイクに、隼のバイクはどんどん近づいていく。

そのまま真横につけると、並走した。

言葉を交わしているのか、しばらく並走していた――そのとき、事は起こった。



――ガンッ。



事もあろう事か、隼がナンパ男のバイクを、並走したまま蹴り上げたのだ。



「え、ちょっと、隼!? 流石にヤバくない?!」

「ほっとけ」



あたしの独り言のような慌てた声に、蓮が冷たく言う。

蹴られた男は少しバランスを崩し、立て直すのにスピードが落ちる。



「う゛あっ、何すんだテメェ!!!!」


大きな怒鳴り声が、小さく聞こえる。

あの飄々としたナンパ男の声とは思えないような、ドスのきいた声だった。