愛して。Ⅱ ~不良俺様ボーイズ×絶世美少女~【完】



「邪魔だっっ、どけっっ!!!!」



隼がそう言って、バイクに乗ったまま食ってかかる。



「や~、でも用があんのよ~~。そこのかわいこちゃんに」



間延びした、甘えたような声。

それを聞いた瞬間、真夏だというのに背筋が冷え、鳥肌が立った。



「はぁ? ケンカ売ってんのか?」



意味わかんねぇ、というように大河が言う。



「ん~、まぁ、ある意味ケンカ売ってる……かなぁ」



男は続ける。



「真梨ちゃん、頂戴? 俺に」



声色でわかる、ニヤニヤした男に、ザワザワと心が落ち着かなくなる。

――怖い。そう、思った。



「真梨、知り合いか?」

「知らない……」



蓮の質問にそう答えれば、小さな声だったのに男は聞こえたみたいで、「えぇ、覚えてないの~?」と言って、ヘルメットをとった。



現れた彼の髪は、銀色だった。

バイクのライトに照らされて、キラキラ光る。ふわふわと風になびく、銀色。

とても目を引く、一度見たら忘れられなくなりそうなものなのに、あたしはなかなか彼のことを思い出せなかった。