バイクを停めた場所から少し脇道に入って歩くと、高台が見えた。
どうやらここがお目当ての場所みたいだ。
「高台に入るの?」
「ああ。このメンバーで走るときは、いつもここで夜景を見るんだ」
「へぇ」
蓮はあたしの質問に答えて、高台の入り口付近に設置されたベンチに座る。
蓮の腕を掴んでいるあたしも、自然と蓮の横に座ることになった。
他のみんなはあたしたちとは別のベンチに座ったり、立ったまま談笑している。
「高台、入らないの?」
「颯が来たらな」
蓮はそう言ってあくびをする。眠いのかな。
「寝る?」
「ちょっと肩貸して」
「いいよ」
蓮があたしの肩にもたれて目を閉じる。
肩に感じる重さと、蓮の髪がくすぐったい。
そんな蓮が少しかわいい、と思った。
しばらく、そのまま時が過ぎていった。