「蓮!」

「何だ?」



バイクに乗っているから、風の音がすごい。

自然と声が張る。



「綺麗だね!」



大きな声でそう言えば、蓮が嬉しそうに笑ったのがわかる。

周りにも聞こえていたみたいで、楽しそうにこちらを見ている。

電灯の光とバイクのライトに照らされた、道とみんなの姿が、キラキラと眩しく見えた。

颯がいたら、もっと輝いて見えるかもしれないと思った。





どんどん、山の方に向かって走って行く。

少しずつ狭くなっていく坂道を駆け上がる。

木々がザアザアと風で鳴いている。

妙な不安に駆られて、蓮の背中にしがみつく腕の力が強くなった。





バイクが止まって、蓮に促されてそこから降りる。

道から外れたところにスペースがあり、慣れたようにそこにみんなバイクを止める。



蓮があたしに背中を見せてみんなの方へ歩いて行く。

蓮の服を手でそっと摘まむように掴めば、蓮は気づいたように振り向いてあたしを見下ろす。



「ん」



そう言って腕をあたしに促すから、あたしは蓮の腕をそっと掴んだ。