隼は「もう行くよ」そう言って、あたしの腕を引っ張る。
「ちょっと待ってよ~。連絡先くらい教えてくれてもよくな~い? ね? 真梨ちゃん?」
キョウという男があたしの肩を掴んで振り向かせる。
「勝手に名前呼ばないでくれる?」
「え~、かわいい名前だな~と思って呼んじゃった~」
どうも話が通じない。
唯我独尊とはこいつのためにある言葉なんじゃないだろうか。
「おい、キョウ。いい加減そのくらいにしとけ」
スイという男がため息交じりにそう言う。
「え~でも~」
「でもじゃない」
「ちぇ~」
やっと諦めたみたいで、あたしの肩から手を離した。
と思ったら、あたしの髪をするりと撫でるように触れる。
「次会ったら、運命だね」
ゾクリ、背筋が冷えたように感じた。
「絶対会わないし、気安く触らないでくれる」
その手を振り払って、背を向けた。
「隼、行こっ」
隼と一緒に、蓮たちが待っているところへ急ぐ。
男たちはそれ以上、追ってくることはなかった。



