キッと、睨みつける。
「お~、気ぃ強いね~! そういう目、めっちゃ好きだわ~」
話の通じない、嫌な男だ。
「やめとけ、キョウ」
「え~、やだよスイ。こんなタイプな子、めったに出会えないよ~」
眼鏡男はスイと言うらしい。
キョウという男と違って、常識人みたいだ。
「ねぇ、俺と付き合わない?」
「ぜっっったい、嫌!!!!」
「え~~~」
なんなのこの男!
しつこい! うざい!
なかなか撒けないその男に困っているところに、聞こえた声。
「お前、真梨に何やってんだ!!」
男にしては少し高い、隼の声は、まるで救世主だった。
「隼!」
少しホッとして、隼の後ろに隠れる。
「何ちょっかい出されてんだよ、真梨」
「あの男が異様にしつこいの!」
隼とこそこそ言い合う。
「あんまりに遅ぇから、俺がちょっと様子見に来ればこれだよ」
「うるさいなぁ。蓮は?」
「蓮が行くと大事になりそうだったから止めた」



