「おー、真梨はやっぱり何でも似合うねー」
菜穂が感心したように言う。
「うーん……」
迷うように、口ごもってしまう。
「ちょっと、シンプルすぎますか?」
お姉さんの言葉に頷く。
袖にレースがあしらわれ、ウエストが絞れるひざ下丈のシンプルなドレス。
その上、紺色という地味な色。
悪く言えば平凡というか、あまりピンとこない。
あたしの要望にピッタリと言えばピッタリなんだけどね。
「そう、ですね……」
困ったようにそう言えば、ずっと黙っていた蓮が口を開いた。
「他の色ねぇのか? 同じデザインで」
「あ、あります! 持ってきます!」
かしこまったようにお姉さんはそう言って駆けていく。
しばらくして、何着か手に持って戻ってきた。
「同じデザインとなると、あるのは黒、赤、黄色ですね」
あたしの要望に合うのは、黒と紺だけってことか……。
「真梨」
「何? 蓮」
「赤、着てみろ」
「え? 赤?」
「いいから。着てみろ」
「う、うん……」



