「試着してみても良いですか?」
「もちろんです! こちらへどうぞ」
試着室に案内されて、まずは黒色のドレスを手に取る。
着替えて試着室のカーテンを開ければお姉さんと菜穂、蓮が待っていた。
お姉さんがパンプスを持ってきてくれて、それを履いて試着室を出る。
試着室の外には壁一面に大きな鏡。
それに映ったあたしの姿は、いつもと違うように見える。
「お似合いです~!」
「うん、すっごくかわいい!」
確かにかわいい。
シンプルだけど、ゴールドの花が華やかで、バランスが良い。
でも……。
「ダメだな」
「え? どうして?」
蓮の一言に、菜穂が不思議そうに首を傾げる。
「かわいいけど、ちょっと重いかな……」
髪も目も黒色で、ドレスも黒色。
統一感がある、と言えば聞こえは良いけど、丈が長いせいでどうしても重く感じてしまう。
「あと15㎝丈が短ければな」
と、蓮が言う。
「うん、そうだよね……次の着てみるね」



