『ふざけんなよ、親父……!!』



あのときの、苦しそうなタカの声が耳から離れない。

だけどそれをみんなに話すのは違う気がして、黙って蓮と対面するように置かれたひとりがけソファーに座った。



「タカん家もいろいろあるけど、あれは俺等にはどうもできないでしょ」



颯が口を開く。

あれもなにも、あたしタカの事情よくわからないし。

ただ、電話したところに居合わせただけで……。



「そ、そういう颯だって……」



言ってから、ハッとした。

颯の家の最新事情を知ってるのはあたしだけなんじゃないか……。

生みの親に、会いたいって言われてること、みんな知ってるの……?



「あー、その日走ろうって言ってた日なんだよなー。会ってぶん殴ってすぐ帰ってくれば、走り間に合うかなー」

「? 何? その面白そーな話」



面白そうって……隼、それはないでしょ……。



「んー、なんか会いたいらしいんだよねー、生みの親が」

「え、何。そんな話になってんの?」



隼がゲーム機から顔を上げる。

他のみんなの視線も、驚いたように颯に向いた。