さっきとは違う、優しく包み込むような抱擁。


見上げれば、菜穂と目が合って。


二人で、笑いあった。








「そう言えば、今日はポニーテールなんだね?」




頭の上の方で結われたあたしの髪を指に絡ませながら、菜穂は聞く。


菜穂があたしの髪から手を離せば、巻いたようにクルクルな髪がふわりと揺れた。




「うん、邪魔だから」


「そっか」




軽く会話を交わして、どちらともなく倉庫の中心、蓮達幹部が揃う場所へと足を向ける。




「…真梨」


「何?」




足を動かしたまま、視線を菜穂に向けるけれど。




「なんでもないや」




そう言ってあたしの方を見ない菜穂に、どことなく切なさを覚えた。