そう声を掛ければ、綺麗に微笑んでいた菜穂がクシャリと笑って。




「真梨ぃ!!」




そう言って、抱き着いて来た。




「な、菜穂…っ?く、苦し…」




あたしよりも20cm近く身長の高い菜穂。


菜穂のあたしよりも小さい普通サイズの胸に顔を押し付けられて、正直息がしにくい。


菜穂の腕の中で暴れれば、離される。




「元気って、あたしの台詞だよっ!いきなり獅龍の姫になったと思ったら、蓮斗と付き合ってるなんて言うんだから!」


「え、なんかごめん」


「もうーっ」




蓮とあたしが付き合ったことは付き合った日からそんなに経たないうちに伝えたから、未だにそんなことを言って来るとは思わなかった。


伝えた時でさえ、絶叫して宥めるのが大変だったのに。




「蓮斗に苛められてない?あ、苛めるとしたら颯も要注意かな…
いや、それよりも…」


「大丈夫だから、苛められてないから」


「本当に?大切にされてる?」


「うん、大切に…」




されてる。


そう言うよりも前に、自分が何を口走ろうとしているのか自覚して頬が赤く染まる。




「真梨が照れてる…っ可愛いーっ!!ヤバい、写メ撮んなきゃ」


「撮らなくていいから、ちょっと黙って……」




顔を両手で隠して、声だけで止める。


すると菜穂は、




「幸せそうで、何よりだよ」




そう言って、再びあたしを抱き締めた。