ハッキリ言っていいものか、と周りを見渡す。


この中で心配要素なのは、隼だけ。


このくらいなら、大丈夫かな。


そう勝手に完結付けて、口を開く。




「蓮、まだあたしに手出して無いから」




意味がわからないと、みんながポカンと呆気にとられている。




「まだ、シてないの。蓮とあたし」




そう言った瞬間、隼が顔を真っ赤にしてむせる。




「シ、シ、シて、シて……っ」


「隼、落ち着いて」




流石、あたしの裸バスタオルだけで鼻血を出しただけはある。


颯の声も聞こえないのか、うんうん言っている。




「隼は放っといていいから」


「あ、うん」




大河の言う通り、隼を放って元の話題に戻る。




「それで?手出さない代わりに、蓮は毎夜理性と戦っているわけだ」


「そうみたいなんだよね。あたしも確信してはいないんだけど、あんまり寝れてないみたい。
寝れたとしても、ほんとに浅い眠りか短い時間みたいでさ」




蓮があたしにキス以上手を出さない理由は、わかりきってる。


あたしが、あの日……邪鬼に拉致られた時に震えていたから。


その“行為”に対しての震えだと、あたしは蓮に言っていないのに気付いているから。


蓮は、あたしがあの日その“行為”に対して蘇った恐怖に気付いているから。


だから、あたしに手を出さないんだ。