「って、おい! 飽きたってなんだ!」
「うるさい、光。それより、あたし颯に用事があってきたんだけど」
「颯さん?」
虎太郎が首を傾げる。
「うん。濡れた服、洗濯してもらおうと思って」
「あー、そっか。俺たちも洗濯してもらわなきゃな」
隼がそう言って濡れたままのズボンを見せるように軽く引っ張る。
「まあ、俺等は風呂入った後洗ってもらうとして。もう脱いじゃったならそのまま置いとくわけにもいかないもんね」
うんうん、虎太郎が頷く。
「颯かー……、どこだっけ?」
「颯さんなら、さっき洗い物してくるって庭出てったぞ? 大河さんと一緒に」
隼の問いかけに、光が答える。
「そう。わかった、ありがとう」
洗い物ってことは、洗い場だろうか。
今朝の颯と両親の言い合いを思い出す。
洗い場は、あの言い合いが行われていた場所だ。
もう一度3人にお礼を言って、じゃあね、ときびすを返す。
あたしは颯と大河がいる洗い場へ急いだ。
洗い場に行くと、大河が使った食器や器具を洗って、颯がそれを拭いていた。
二人は入ってきたあたしに気がついて、顔だけこちらに向ける。



