「あ、あの、蓮……濡れるから、降ろして? 一人で歩ける……」



蓮の肩をたたいて声をかけるけど、蓮は何も言わない。

相当怒ってる。



「蓮……怒ってる?」



蓮の肩をたたいて声をかけるけど、蓮は何も言わない。

視線すら合わない。

銀の瞳はまっすぐに前を見据えている。

あたしを映してくれないその瞳が、やはり怒っているようで、怖く感じた。

女湯、男湯と書かれたのれんの前までやってきて、蓮は立ち止まる。

蓮は2つののれんに視線を彷徨わせた後、戸惑いもなく、女湯の法ののれんをくぐった。





脱衣所で腕の中から降ろされ、ホッとしたのもつかの間、濡れたサマーニットの裾を蓮が上へ上へとぐいぐい引っ張る。



「ちょ、蓮?!」

「いいから。手上げろ」



有無を言わせずサマーニットと一緒にキャミソールまで脱がされ、上半身に残ったのはブラジャーのみ。

蓮はそれすらも取り去ろうと、手を伸ばしてくる。



「ちょ、ちょ、ちょ、ま、待って! 待ってよ!」