お団子にしていた頭は水を含んで重くなり、少し乱れている。
濡れた前髪がおでこにかかって気持ち悪い。
身につけていた白のサマーニットもダメージジーンズも水を含んで動きにくい。
「きもちーっしょ?」
隼が笑顔で聞く。
光はさっきまで水を飲んでしまって苦しんでいたのが嘘みたいに楽しそうに泳いでいる。
虎太郎はそれを見て呆れたように笑っていた。
「いや、気持ちいいとかじゃなくてさ……クシュッ」
思わずくしゃみが出てしまう。
体を濡らす水は冷たくて、体温を奪っていく。
「え、真梨、寒い?」
「普通に寒いし……」
ブル、体を震わせる。
このままプールの中にいたら、風邪を引いてしまうかもしれない。
「……おい」
そんなとき、後ろから声が聞こえた。
目の前の隼は私の後ろを見上げて顔を青くしている。
声をかけてきたのが誰なのかは、顔を見なくてもすぐに分かった。
そして、その声色が怒りを含んでいることも。
「……蓮」
その名を、呼んだ。
寒さか、その怒りのせいか、震えた唇で、その名を呼んだ。
「お前等、何やってる」