「菜穂、起きて。 もう昼だよ」

「……ん、もうちょっと……」

「菜穂ー……」

「……真梨?」



意識がしっかりしてきたのか、あたしを認識して布団から顔を出す。

ショートボブの髪にはところどころ寝癖ができていて、目はまだトロンと眠そうだ。



「真梨……おはよう」

「おはよ、菜穂」



布団をまくって上半身を起こして伸びをする菜穂。

あたしと蓮の予想とは違って、少し着崩れてはいるがしっかり浴衣を着ている。

ただ、同時に見えた大河は上半身裸だ。

下半身は浴衣が巻きついているが。



「ん……眩し、菜穂……」



大河が寝起きの掠れた声を発し、やっと起きたのかと思えば菜穂の腰に抱きついて布団に引きずり戻そうとしている。



「ちょ、大河⁈」

「これはこれは……あっついねぇ。 昨日ヤったの?」

「真梨面白がってるでしょ! てかシてないから!
まだ正式に付き合ってるわけじゃないし。 って、大河離して!」