「ちょっと、なに笑ってんの」

「いや、悪い。 怒んなって」

「怒ってない。 で、銀じゃなかったら何色なの」

「あぁ、灰色。 グレーだ」

「あんま変わんなくない?」

「まあこの目を銀だという人もいるけどな。 でも俺は灰色だと思ってる」



少し視線を下げてそういう蓮は、少し寂しそうにも見える。



「シルバーよりもグレーの方が俺にはお似合いだ」



自嘲的にも聞こえるその発言は、今のあたしにはよくわからなかった。



「意味わかんない」

「わかんなくていいんだよ。 俺がクソなだけだから」

「ふーん。 じゃああたしは銀だと思うことにする。 あたしの中でそれは銀だから。 すごい綺麗だし、あたしの中では絶対銀!」

「……そうだな、それでいい」



そう呟くように言った蓮は、左手であたしの頭を軽く撫でると右手でタバコの火を灰皿に押しつけるように消した。