「おかえり」

「た、ただいま」



入った瞬間、窓際にある椅子に座ってタバコをふかしている蓮と目が合って。

かけられた声に吃りながらも答える。

そしてそのまま、あたしは蓮の側まで近づいていく。

目を合わせたまま、まるで蓮の銀の瞳に吸い寄せられるかのように。



「……ずっと、気になってたんだけど」

「なんだ?」

「蓮の瞳って……ホンモノだよね?」



朝だろうが夜だろうが、蓮の瞳はいつも綺麗な銀色。

光の加減である程度色味は変わるけど、黒や茶などの日本人らしい色になったのは見たことがない。



「ああ、そうだ。 それがどうかしたか?」

「ううん……綺麗な銀色だから、聞いてみただけ」

「……銀色?」



目を丸くして、キョトンとした蓮があたしを見る。



「え、違うの?」

「ははっ」



なにがおかしいのか、呆然としていた顔を崩して急に笑い出した蓮。