【完】幽霊のカケラ




 僕は人殺し……。僕はいらない。僕は兄ちゃんのお荷物。僕は兄ちゃんの苦しませる道具。――……俺は母さんを殺し、兄貴を苦しめた……生きてる価値のない人間?


「あー、東雲だ。人殺し! 人殺し! 最低! 母親殺したんだろ?」

「すげぇよな、お前の兄ちゃんから聞いたぜ? お前の兄ちゃんが東雲は平然と生きてムカつくだって」


 あははは、ぎゃははは、そんな笑い声を響かせながら俺の前に立ち、ビンタして来た。


「ほんっと、最低! お前が死んじゃえば良かったんだよ。兄ちゃん苦しめて楽しい?」


 今の俺にとっては、女みてぇな考えする連中だなと思ってしまう。隣のクラスでは女子が女子を虐めていたから。でも今でもその言葉は消えない。


 死ね、価値ない、不要、カス、人殺し、実の母親殺すってガキの癖にすげぇ、死ぬべき奴は貴様だろ、嘘吐き、霊見えんの?、嘘吐きは消えて。


 苦しくて苦しくて小5からいけない事をし始めた。それは自分で自分を痛め付ける自傷行為である。決して軽い気持ちではない。今は、軽い気持ちでやる人がいる。本当に壊れた俺にとって不快で仕方がなかった。

 学校ではクラスメイトからの暴言暴力。家では兄貴からの暴言と軽い暴力。父さんにバレない様にするのが大変だった。でも3度目の学校をずる休みした事が父さんにみつかった。


「何故、いつも傷がある? 何故、いつも服が汚れてる? 何故、瞳に何も映さないんだ?」


 ひとつひとつ、優しく聞いてくる。本当はバレていたのかもしれない。兄貴の事は今現在でも分からないが、学校の事は気付いていたのかもしれない。

 俺は学校で起こった事を説明した。父さんは、お前は人殺しじゃない、そう言った。だが俺は、愛しの人を殺してしまった。それだけは今現在でも思い続けているのだ。話した次の日から学校を親承諾の上で休ませてくれた。


「明日で不登校の日数……。明日行って明後日から休もうかな……?」