【完】幽霊のカケラ




 父、小菊。母、麻香。兄、兵蕗。俺、東雲。みんな花の名前。正式には、母、朝顔に兄、石蕗に俺、東雲菊だ。

 花言葉で小菊は元気。朝顔は愛情や短い愛。石蕗は困難に傷つけられない。東雲菊は困難に耐えるらしいのだ。


※図鑑等により変わります


「俺は困難に耐えられないよ」


 兄貴と似た意味だけど、兄貴は困難なんかない様なモノだった。他よりは楽して勉強をこなしていたのだから。


 俺が5歳の時の話。


――……兄ちゃん、どうして?


「てめぇのせいで俺は苦しいんだよ! 俺が大人になったら一旦出てやる。そしてお前はこの家から消えろ! 人殺し!」


 僕は人を殺したの? 5歳の僕がどうやって殺したの? どうして殺したの? 何で?


「パパ、僕、人殺し?」

「えぇっっ!!!?」

「兄ちゃんが言ってた」

「……しーちゃん。しーちゃんが産まれる時ね、ママ、危険だったんだ。でもママは、しーちゃんを大切にしてた。だからしーちゃんを産ませたの」


 ――そうか、僕のせいでママが死んだ、そうなんだよね?


 俺は幼いながらも何故か自分のせい、って分かった。兄貴の言葉。母さんが俺を産ませた。俺にとっては赤ん坊、俺を見捨てて欲しかったよ……。