それから1週間がたち、赤ん坊と母は、退院した。


「ほら、着きましたよ。今日からここがあなたのお家よ。カナル」


(ここが僕のお家でちゅか!嬉ちぃでちゅ!)


「あっ!カナルが笑ったぞ!」
「カナルもわかるのよ、パパ。」
(…入院中から、よく僕とママさんに会いにきた人なんだけど、パパさんって名前でママさんと違って柔らかくないし、大きいので抱っこされるとドキドキでちゅ。)



赤ん坊の名前が決まった。南都 カナル、名前の通り「なんとかなる」と常に希望を持ち続けてほしいという気持ちを込めた。



カナルは、家にあるカナル用のベットに寝かせてもらい、天井には、兎と熊と犬と蛙の人形が音楽とともにクルクル回っていた。
カナルは、心地好い気持ちで寝た。




「疲れただろ。荷物は、後で俺が片付けとくから珈琲でも飲みなよ。」

母は、リビングのソファーに座り、父がいれてくれた珈琲で一息つけた。

「ふ〜、ありがとう。」
笑顔で答えた。


父は、カナルのベットを覗いた。

「カナルは、本当に面白い顔だな。俺にもママにも似てないな(笑)」


「そんなことないわよ。あなたにも私にも何処と無く似てるわよ。」



母は、アバウトだった。











トゥルル…トゥルル…。
父の携帯が鳴る。



「はい、南都です。あぁ〜!いつもお世話になっています。はいっ、はいっ…えっ?本当ですか?!わかりました。なんとか、引きのばせるか聞いて見ますので、後程ご連絡させていただきます。はい、失礼します。」



…ピッ。



父は、自分の仕事部屋に向かった。



「ふぇ…ふぇ、ふぇ…オギャア〜オギャア〜!」
(ママさんどこでちゅか?僕、お腹しゅいたでちゅ(泣))



「あらあら、どうしたの?お腹空いたかな、おいで。」


そっと母は、カナルを抱きよせた。カナルは、慌てて母のミルクを飲んだ。



ゲップ、ふ〜。

(満腹でちゅ。)



カナルは、幸せな顔で満足感に浸っていた。
その時、



ガチャ。
父が部屋から出てきた。とても困った顔をしていた。